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親がしてあげられること [kenの受験]

中学受験は親子の受験だと、いろんな場面で語られる。
小学生の子どもがひとりで取り組むには大きすぎるほどの挑戦だ。
我が家はちょうど、息子が中学受験の頃
次女に手がかかり、私はほとんど勉強を見てあげることが出来なかった。

でも、振り返ってみるとそのことが彼を自立させた。
学校の担任の先生からも、塾の先生からも
「お母さんは娘さんのことだけ、面倒見ていれば良いと思いますよ」とアドバイスされた。

塾に入って初めの頃、学校よりはるかに進む内容に追いつけず
しばらくは父親が一緒に勉強し、乗り切った。
その後、学習についてはほとんど塾に任せ、
6年生の夏休み、
冬休みはお盆と元旦以外は毎日、日中はほとんど塾で過ごす日々。

私がしたことは、テストの結果には必ず目を通し、
どんな部分が苦手でどんな部分が得意かは
把握してあげようと時間を作りまとめたことだ。(だってもう難しくて教えることはできない)
そしてそれを塾に細かく伝え、対策は塾に委ねた。

夏以降は、精神面での変化を見逃すまいと、気がつかれないよう息子をよく観察した。
学校の先生からも、塾の先生からも「ストレスはいろんな行動パターンにでるから
それだけは見逃さないようにしてあげてください」と言われていたからだ。

息子は塾が楽しく、やればやっただけ結果となって返ってくる勉強に手ごたえを感じ始めていたのだと思う。
勉強を拒むことはなかった。 だから見た目にはストレスなど微塵もないように写った。

ただ、本当に自分は合格できるだろうか・・という不安とはいつも戦って、
それを笑っておちゃらけることで乗り切った。
そんな息子のために私も平静を装い、常に笑っていた。

でも、内心はもしかしたら息子よりドキドキで、
仕事中は忘れていた心配な気持ちが仕事の帰りにはよみがえり、乗る電車を間違えたり、乗り過ごしたりが続き
私は家に帰れるのだろうかと心配するほど、精神的にこたえていた。
そんな心の動揺を息子には悟られまいと家では平静を装った。

願書を出す時も緊張した。別に願書が合格を左右するわけでもないが、
ペンを何本も選び買い、これぞという1本を選んだり、
願書のコピーに下書きをして、本番は一字一句心を込めて記入した。

受験料の振込に行った時、窓口の女性が「合格しますように」と
合格祈願の鉛筆をくれて、
ほろっときてしまった。

願書は息子と一緒に出しに行った。
土曜日の本局の窓口に行き、息子自身に配達記録の用紙を書かせ、窓口に向かわせた。

「お願いします」緊張した息子が差し出す。
「願書出したね。いよいよだね。」2人で興奮した。

実はこの時、家族に内緒で私は2月受験の学校2校の願書を取り寄せ、記入していた。
夫は、志望校がだめなら公立と決めていたけど、私はひとつでも彼に合格をあげたかったから
ひそかに願書を書いた。もし、全滅してしまったら私はうろたえて願書がかけないかも。
それに、この取り越し苦労の願書が無駄になることを祈って願掛けのようなつもりで。

入試のスケジュールを表にしたり
持ち物、当日の交通、時間配分等を表にした。
そんな準備は楽しかった。

彼ががんばっているのを、方向音痴の母が邪魔してはいけない・・・。
電車の時間や、駅からの道のり、何度も訪れた学校だが再確認した。

彼が知らないところで、いろんな下準備をした。
当日のおやつ
サクラサクキットカットや、大好きなチーズドック、キャンディーを
入試ごとの小袋に詰める。一言メッセージをつけて。
すぐに鼻血を出す息子のためにすぐに鼻に詰められるようなティッシュと
大丈夫!あわてないでとメッセージを書いたセットを筆箱にしのばせた。
試験会場で、彼がこれを見て笑ってくれたらそれでいい。
リラックスできたらいいんだ。
(ほんとに「笑えた。落ち着いた。ありがとう。」と息子に言われ、ちょっと泣いた)

最後の息子の頑張りを少しでも応援したい。
親がしてあげられることは、体調管理と心の安定を保つこと。
私は、それだけをしっかりやってあげようと心に決めて・・・

親がしてあげられるのはほんのわずかだけど。

 


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塾は利用していいんです [kenの受験]

3年前に息子の中学受験を決めてから
中学受験の情報をいろんなところから模索した。

1番心強かったのは塾の担任の先生のアドバイス
それから、塾の提供してくれる情報
中学受験がまったくはじめてで、息子の通う小学校にも仲間がほとんどいなかったので、
塾で知り合ったママ友は心のよりどころでもあった。

息子の通った日能研では夏休みに
Nフレンズという催し物がある。これは新1年生が3ヶ月あまりの経験を後輩に話してくれる、在学生による学校説明会だ。
息子も6年生の時にこの催しに参加し、自分の希望する学校の中1の先輩からいろんな話を聞いた。子供が子供に話す話はよりリアルで、子供の心をくすぐった。
そして1年後、彼もこの催しに声がかかり、説明する先輩として参加した。
私は娘を連れて、彼の様子を見に行った。
途中、彼の学校のブースをのぞくと、お母さんと子供の2人から質問されている息子を見つけた。
そのうちお母さんが身を乗り出して、質問攻め、息子はずいぶん長く額に汗しながら一生懸命、答えていた。
お昼タイムにブースをのぞくと、学校の友達、ほかの学校に行った塾の友達と楽しそうに用意されたお弁当を食べている。
                                         
ほぼ1日がかりのNフレンズも無事終了し、図書カードをいただいて帰ってきた。
「あのお母さん、すごかったねぇ」と聞くと
「あぁ~だんだん体も前にきちゃってさぁ。あせった。でもちゃんと話せたと思うよ」
そうだよねぇ。大好きな学校の話だもん。張り切るよねぇ・・・

息子は塾との相性がよかった。
さまざまな塾があるが、子供の性格や状況とあった塾は子供を成長させてくれる。
息子は塾で、上位のクラスではなかった。

日能研の他校に通うママ友達から、「日能研って上位の子供たちの面倒見がいいけど・・・」と聞いていたので不安もあったが、いざ入塾して6年生になると、私の心配や不安を本当に良く受け止めてくれたと歓心した。

とにかく情報量がすごい。
一度、カリキュラムテストのテスト後の対応を相談したところ、
かつて息子が間違えた問題を、ピックアップした特別プリントを作ってくれた。
この部分が弱いので・・・と相談すると、対応カリキュラムを組んでくれて
塾の授業開始前に数十分時間をとってくれた。

要するに、塾は十分活用できるのだ。

(高い)月謝を払っているのだから・・・と疑問に思うことはすぐに告げたし、
弱い部分をどうしたら伸ばせるのかも熱心に相談した。
過去問を解き始めた頃には、ノートを提出しても、【見ました】というサインだけで戻されたので、できない問題には理解できるよう、解説してほしいと伝えると、次に提出したノートには赤ペンでびっしりコメントが付いてきた。

夏期講習の後の塾長の話の中に、
「塾はどんどん利用してください。電話もどんどんかけてください。まぁ職員の中ではまたかぁと話題にもなりますが、それでいいんです。どんどん相談してください」   とあり、
んんん・・・もしやうわさになっているのは私?  と苦笑い。
でも、疑問や不安、不満を心にためず、先生に伝えたことは本当に良かったと思っている。



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入試に登場する小説は・・ナイス [kenの受験]

息子の入試に関わって、いろんな本を一緒に読んだ。
入試に良く出るものとして、
バッテリー(あさのあつこ)
アーモンド入りチョコレートのワルツの「子供は眠る」(森絵都)
西の魔女が死んだ(梨木香歩)
夜のピクニック(恩田陸)
・・・・
子どもが読み終わった本を私も読んで、けっこうほろっときた。
バッテリーは、私が前から気に入って読んでいて
17年度の受験最多出題と聞いて私の持っていた本を薦めた。


子どもの心情を良く捉えて、生々しく描いたこれらの作品は
受験のために読むのはもったいないくらい子どもたちの心に残るものがあると思う。

私は特に「夜のピクニック」が好きだ。
自分の学校でも歩行祭があったらよかったのにと思う。
貴子が心に決める賭けも充分共感できるし
歩行祭を終えて、手に入れた新しい友情の形に感動した。

西の魔女が死んだ」では、娘との関係を改めて思い、多感な娘の気持ちをわかってあげたいと思った。
子供は眠る」では子供なら一度は体験するであろう子供社会の様子をなつかしく体験した。
どれもほろずっぱく、大人でも心を洗たくできる本だ。

その後、バッテリー夜のピクニックも映画になり
どちらも観賞したが、実写もとてもよかった。
バッテリーの豪は涙が出るくらいイメージだったし
夜のピクニックの貴子と融は本のイメージそのままだったし、杏奈役の加藤ローサはとてもキュートだった。
夜の歩行祭の様子も本を読みながら頭の中にめぐらせた世界が広がり
すばらしかった。
これらの小説は息子の受験がなかったら私の世代ではめぐり合うことがなかったかもしれない。
思わぬところにも受験経験の恩恵がある。

バッテリー

バッテリー

  • 作者: あさの あつこ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 文庫
アーモンド入りチョコレートのワルツ

アーモンド入りチョコレートのワルツ

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/06/25
  • メディア: 文庫

夜のピクニック

夜のピクニック

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫

西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ

  • 作者: 梨木 香歩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 文庫


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心にのこる先生 [kenの受験]

ブログをネットサーフィンしていて
ある記事に感銘した。

 大学受験の勝因は量をいっぱいやったということと、
 ズバリ!!『素直さ!!』
 一生懸命頑張った人には最後には神様も味方してくれる
 『素直な気持ち!! まず、やってみよう!!』すごく大切

こういったフレーズを見ると思い出す人がいる。

塾で最後の1年半を担任として見守ってくれたY先生だ。
最初の個人面談で
息子の現実と、父親からの希望の2校がだめだったら終了という
重圧に思わず涙してしまったことがある。
そのためかその後、とても気にかけてくれて
子どもの勉強方法の相談にはいつも親身になって聞いてくれた。

初めての受験に不安だった私たち家族は
Y先生の言うとおりに頑張っていれば大丈夫。と確信し
いつも息子にもY先生の言うことはちゃんとやろうねと話した。

模試で国語がいつも足を引っ張る息子は
記述問題が大の苦手。
頭からあきらめほとんど白紙で答案を出した。
そのことを相談した後、
Y先生はいつも塾の始まる時間より少し早く着く息子に
この問題の要約してみない?と誘ってくれた。
初めは簡単な物語、だんだんと内容が長くなっていく長文を○○字以内に要約しなさい・・・という課題を言われるがままに頑張った。

テストの後間違った問題はノートに写し、その下にもう一度解く。丁寧に解説を書き込みながら解くのだ。
そうやってY先生の支持のとおり
「ええぇ~やってらんねぇよ」と減らず愚痴をはきながら過ごす息子は
着々と偏差値も上げ、記述問題に字を書き込めるようになった。

塾の後半は志望校の過去問をノートに解き提出する宿題があったのだが
各科目の先生からの解答が遅かったり、間違った問題の解説がなかったりしたことをY先生に相談すると、すぐに対応してくれて解答ノートの戻りが早くなり、解説がぎっちりと書き込まれるようになった。

Y先生は、個人面談のたび、息子の志望校については辛口でまだだめです。もう少し頑張らなければだめです。と
毎回厳しい表情だった。
最後の個人面談の帰りがけに先生がふと
私の後姿につぶやいた。
「これは、私の主観です。・・・が、○○君はきっと合格できると思います。」
私は涙があふれてただ頭を下げることしかできなかったことを思い出す。

合格を勝取った後、
塾に挨拶に行ったとき、ちょうど塾の壁に合格短冊を貼っているときで息子は自分の短冊を自分で壁に張った。
一緒にその姿を見るY先生の頬にも涙がつたったこと
今でもはっきり私の目に焼きついている。

その後
Y先生は塾を退職していた。
塾長の話では家庭の事情と言われた。が
その年、塾のY先生の受け持ったクラスで志望校にストレートで決まった子どもは息子だけだった。
後から聞いた話では、かなりの保護者が合格を手に入れられなかった抗議に押しかけ、Y先生を攻めたてたと聞く。
なんだかとても切なかった。
Y先生は若い女性だった。息子の話ではほかの子どもたちは少し先生を小ばかにしていて、Y先生の出した課題や宿題を毎回きちんとこなしたのは息子だけだったという。
私から見れば一生懸命ですばらしい先生だったと思う。

息子は入学して半年ぐらいに行われた
実力テストの国語で学年1位を取ったことがある。
その答案は記述問題ばかりだった。
「ねぇ、この1位はY先生のおかげだと思わない?」
息子に、独り言のように声かけたとき
「うん。俺もそう思った。塾に先生がいたら見せに行きたかったんだよなぁ・・・」
息子の返事を聞いたとき、
そうかぁ~君もちゃんとわかってたんだね。何が大切か。
もう君はちゃんと頑張っていけるねぇ・・・と心の中で笑った。


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もうひとつの志望校 [kenの受験]

息子の中学受験は
当初、本当に気に入った2つの学校のみを受けることにしていた。
2つの学校には、家族で何度も訪れ、
説明会、文化祭、体育祭を見るにつけ息子も夢は広がった。
いつか自分もこの中に溶け込み、一緒に笑い、汗する日々を思って
6年の後半を乗り切った。
私自身もこの2つの学校には運命的な出会いを感じていて
どちらにも入学させたいと心から思っていた。
そして昨年の春、2つの学校からとても素敵な合格証をいただいた。
今でもその美しい合格証は、塾の先生の寄せ書きとともに額にいれて息子の部屋に飾ってある。
どちらの学校に通うか決めた後、
通うことのできない結果となった学校に辞退届けを提出する。
ほかの志望者の方のために、学校を決めてその日のうちに送る。
どうしても感謝の言葉を伝えたくて手紙を添えて。



★★中学校のみなさま へ

 このたびは、合格という最高のプレゼントをありがとうございました。
子どもにとって、初めての試験、初めての合格でしたので、発表の掲示を前に
体を震わせ喜びをかみしめていた姿が今も目に焼きついています。

 受験を本格的に考えるきっかけとなったのは、貴校の美しいキャンパスです。
その後何度も学校に足を運び、希望と憧れを胸に頑張ってきました。

 幸いにも複数の学校から合格を頂き、理工系を極めたい本人の希望など、とても悩みながらも他中学校に進学を決めました。
入学は辞退となりましたが、感謝の思いをどうしてもお伝えいたしたくお手紙を添えさせていただきました。

本当にありがとうございました。

 

もう一度、この手紙を読み返したとき、
子どもと一緒に何度も学校を訪れた日々をなつかしく思う。
もうすぐ、2年生・・・これからも頑張れ!


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