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サクラサク [kenの受験]

今日は、職場でたくさんの別れがあった。
定年を迎えた数々の先輩を送り出し、
感動した1日。
職場の周りにある桜並木にサクラがきれいに花をつけて
雨上がりの太陽の光にきらきら輝いている。
なんだかとても感動して、入学式に見たサクラを思い出す。
息子の中学受験を終えて、投稿雑誌に寄せた受験記をブログに載せてみた。
息子の入試の後、数々の体験記に載せた雑誌を
家族の宝物にしまっている。将来子どもたちがもう少し大きくなったとき
なつかしくページをめくるのが私のささやかな夢だ。
大好きなファイルにこの言葉をつづる。

【サクラサク】   

この春息子は中学生になった。
自分の希望する学校に挑み、合格を勝ち取った。
これからが彼が自分で切り開く人生のスタート。
親としては見守るばかりだ。
2年間の受験生活を経て、息子は成長した。
これはかけがえのない私たち親子の記録だ。

きっかけは、指定校の公立中学校がとても荒れている状態にあったため、
入学を避けたかった親の考えだった。
4年生の秋、私立の中高一貫校の知識も全く持たず、
広告で目にとまった日能研の無料体験授業にわが子を参加させた。
とても楽しいという。通ってみたいというわが子の希望を
とりあえず受け止め、入塾を決めた。 
最初の模試は悲惨だった。こんな点数ってあるの?
小学校では授業には十分ついていけているどちらといえば、
勉強が出来るほうだと思っていた私は驚いた。
この模試で満点に近い点数を取る子どもがいる。
初めての驚きだった。
公立の学校はこんなに学力面で劣っているのだろうか?心配になった。
平成15年12月入塾を決めた。
 入塾してからの1ヶ月は、途中入塾ということもあって大変だった。
まだ学校で習っていない小数の計算になれるため、
毎晩父親が付き添って問題を解いた。
この時期の頑張りは6年生の後半の頑張りに近いものがあった。
乗り切って2ヶ月目ぐらいからはすっかり塾のクラスにもなれた。
この頃、子どもの口からテストの順位で座席が変わる話を聞いた。
正直ショックだった。精神的な苦痛を心配したが、
私の心配をよそに息子はどんどん成績を伸ばしていった。
そして、ひとつ上のクラスに上がった。
この時の息子の笑顔もとてもよかった。
頑張ることの喜びをちょっぴり知ったようだ。
 5年の夏休みは夏期講習を受講するのを見合わせた。
今までのテストの復習も進まず、やや消化不良になりかけた
今までのテキストを自宅でじっくり取り組むことを選んだ。
一緒に立てた計画を、私が仕事で留守の日中に毎日きちんとこなしていた。
学習の習慣がつき始めたのもこの頃。
 夏休みを過ぎたころから、学校の友達と、
自分の立場についての葛藤が始まった。遊びたい。
ゲームがしたい。欲望に負けて何度も勉強をとめた。
塾に行く時間のぎりぎりまで友達と遊び、
復習もカリキュラムテストの予習もおろそかになった。
このころ、何度も父親にテキストを取り上げられ
「やめてしまえ」と怒鳴られた。
「家族もお前を中心に協力し、
妹たちも休みに遊びにもいけない。やる気がないのなら、
家族でのレジャーを優先する。受験はしない」
息子は泣いて
「受験させてください。僕の夢を実現したいから」と訴えた。
でもこんなやり取りはその後何度も繰り返えされた。
 そんな息子が変わったのは、6年生の夏休み、
夏期講習からだ。
講習は午後からだったが、毎朝9時ごろから自習教室に自分で通った。
担任の先生と課題を決めてどんどん取り組んだ。
このころから勉強が楽しいと笑って言うようになった。
顔つきも変わり、言葉の使い方や話し方が変わった。
きちんと自分の考えを話すようになった。
夏休みが終わって始めての模試で、
今までにない偏差値をだした。
自分の努力が数字になって表れる。
それが自信となって勉強がすすんだ。
冬の模試は偏差値がやや下がったが、
自分の蓄積に自信をもてたのか「大丈夫」と自分に言い聞かせていた。
何であんなに自信があったの?と後で聞いたことがある。
「大丈夫と言っていないと不安だった。だめだと思ったらどんどんだめになるような気がした」と
ぼそっと答えた。

 6年生の冬休み、夏期講習と同じように朝から塾に出かけ、
お正月も元旦だけ何もしないで過ごし、あとは勉強した。
1月になってからの息子はおしゃべりだった。
自分で冗談を言っては自分でよく笑った。
不安でいっぱいだったのだと思う。
回り当り散らすことなく、不安を解消していた息子を誇りに思う。
 受験初日は○○中学校。幕張メッセでの受験は11月に
入って息子が決めた。安全校と第一志望校の2項を受けるはずだった計画に、
チャレンジ校が加わった。でも、この受験を決めた後の息子の勉強に
対する姿勢はますます意欲的になった。受かってしまうのでは・・・・。
 受験の前日、妹たちを父に頼み、久しぶりに息子と二人、
子ども部屋で寝ることになった。布団に入る前息子をぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫。たくさん頑張ってきたんだから結果を気にせず力を出し切っておいで。」
すこしして息子の腕も私の背中をぎゅっと抱いて、しばらくそのままでいた。
「久しぶりだね。なんだか大きくなってびっくりしちゃったよ」おどけて言うと、
息子はちょっと涙声で【うん】とささやいた。
布団に入ってからも眠れないというので、幕張メッセの話で笑った。
「鉛筆の音きっとすごいね」
「座ったら後ろ振り返って会場全体見てみようかな」
「寒いのかな」・・・・いつのまにか声がしなくなった。眠れたようだ。
 朝は、5時に声をかけると飛び起きた。
学校に行く日は絶対起きないのにすごい。
いよいよ初日がスタートした。
新松戸で京葉線に乗り換えると続々と受験生らしき親子が乗車してきた。
海浜幕張の駅はまだ、早朝にもかかわらず、人が増え始めていた。
人の流れに乗って歩くと橋の先に塾の先生らしき人垣が見えた。
橋に差し掛かると男の人が息子めがけて飛び出してきた。
お世話になった塾の先生だった。
先生もやや興奮して息子の体を抱いたり頭をなでた。
何人かの先生と握手をした後、とびきりの笑顔で
「じゃあ」と会場に吸い込まれていった。
息子の体が見えなくなると、なぜだか涙があふれて、
とめどなくあふれてとまらなかった。
保護者控え室に入り着席した後も、しばらく続いた。感動していた。
この時心からどんな結果に終わったとしても受験してよかったと思っていた。
 入試が終わると100人ずつ在校生のプラカードに続いて
受験生が出てきた。息子の受験番号は2桁だったので、
A-1ブロックのプラカードの後を はにかみながら出てきた。
「出来たと思う」自信にあふれた表情で言った。
 次の日は★★中学校の入試だった。
この学校には特に思い入れがある。
初めて学校を見学した学校でもあり、門から校舎までの緑あふれるキャンパスを息子も私たちもとても気に入っていた。
運動会、文化祭、説明会数え切れないほど通ったキャンパスで
いよいよ本番を迎えた。この日は塾の担任の先生も応援に来てくださり、
息子もほっとした表情をした。
会場には早く着きすぎてしまい、3番目の列についた。
 入試が終わり午後の面接まで、芝生の大広場でお弁当を食べた。
大好きなチーズドックをほおばり、
今日も晴れ晴れとした表情をしていた。
学校を訪れた時の数々の思い出話を笑いながら話し、
長い面接までの待ち時間もあっという間に過ぎた。

 翌日、東京には珍しく降った雪が真っ白く街を染めていた。
今日は、○○中と★★中の発表の日だ。チェーンを巻いた車で早めに家を出た。
途中で取った昼食の間、息子は落ち着かず「落ちたらどうしよう・・・」と珍しく静かだった。
発表の時間がせまり、車は学校のキャンパスに到着。
雪の振る中をさくさくと歩いていく。
前方の掲示板に吸い込まれるように近づいていく。
「あった!」
息子の鳴き声のような叫び声とともに、受験番号が目に飛び込んだ。
顔を涙でぐちゃぐちゃにして、全身を震わせて掲示板を見つめる
息子の後姿をじっと見つめていた。
「いままで、ありがとう」この言葉は何よりも心にしみた。
私の頬にも涙がとおった。本当によくがんばったね。
 ○○の結果は車の中で、携帯によりインターネットで確認した。
番号はなかった。息子に伝えると「そうか」と小さくうつむいた。
涙をこらえていた。
「よく頑張ったよ。思うようにテストも出来たんだし、
さわやかな敗北だね。明日は頑張ろうよ」
息子の方をポンとたたくと、
「★★の合格発表を見た時、すごくうれしかった。
◎◎も絶対合格して、もう一度あの気持ちを味わいたいんだ。」
瞳が輝いていてきれいだった。
「そうだね」一緒にうなづいた。
 翌日の朝は、まだ雪も残り外は風がとても冷たかった。
いよいよ、息子の本番。今日の日のために2年間頑張ってきたんだ。気持ちよく送り出してあげたい。そして思い残すことのない1日にしてあげたい。
私たち親に出来ることはもうそれだけだ。父は、前日の夜から汗だくになって家の前の雪をかいた。雪は夜中にも降りやまず、ぱらぱらと小さな粒を地面に落とした。父は何度も雪をかき、車にチェーンをはかし、万全の準備を整えた。交通機関が遅れても学校は待っていてくれただろう。けれど父は、試験以外は何も心配なことがないようにしてあげたいからと、朝早くから準備をして、車で会場に連れて行ってくれた。普段は厳格で厳しい、
不器用な父親の愛情。
順調に学校に到着し、暖かいカフェテラスで待機した。
受付の時間がやってきた。
「行ってくる」
父親は後ろから息子を抱きしめる。「頑張ってこいよ」
息子は今日も笑いながら教室へ消えていった。
午前中は丸々かかる試験をカフェテラスで待った。
普段ならもてあます待ち時間も、やけに短く感じた。
読書も本の内容が全く頭に入らないので本を閉じる。
終了の時刻、友達を見つけた息子はいつも塾から帰ってくる時のように、
「じゃぁな」と、手を振り出てきた。

翌日の発表は父と二人で学校に出かけた。
息子は第一志望校に合格した。
言葉にならない涙と一緒に「ありがとう」の電話を受けた。
体を震わせ喜びをかみしめる息子の姿が目に浮かぶ。
この日のために努力したのだから今日は思いっきり泣こう。
体の奥底からこみ上げる感情を思いっきり味わおう。
この体験はこれからの人生のきっと大きな力になる。

夢は必ず叶う。

 

息子の受験した学校は、偏差値でいえばそれほど難関な学校ではない。白熱する中学受験においてはあまり知名度のない学校だ。でも、親子で体験する中学受験は受験という子どもにとっての大きなストレスを乗り越えて成長することに意味があると思う。これから中学受験を目指す人々にこんな受験もあるんだなと感じていただけると・・・とてもうれしい。


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コメント 8

適当ママ

今日はお願いに参りました。
リンクを私のブログに貼りたいのですが良いでしょうか?
紹介文が載せられますので、どんな感じで書いたらいいか
リクエストあったら併せてお願いします。
by 適当ママ (2007-03-30 23:40) 

win-win

第一志望校に合格できて良かったですね^^
頑張りが形になる経験は、これからも息子さんの支えになるでしょうね。
by win-win (2007-03-31 21:40) 

みちる

win-winさま
ありがとうございます。
ちょっと具体的になりすぎて
書いた後、ちょっぴり過激だったかと
思っていましたが、
コメントがついて
とてもうれしく思います。

私のブログ、
アクセスは想像以上に増えて
たくさん訪問をいただいたことを
うれしく思っているのですが
あまりコメントがのこりません(;;)

あまり共感の得ない内容なのかなぁと
寂しく思っていたところ
ナイスまで頂き、感激しました。

文章だと、書いているうちに
自分では思いの寄らない方向に気持ちが
進んでしまったり、
とても個人よがりな内容になってしまったり
難しいですが、
こうして気持ちを言葉に残していくこと
結構楽しんでいます。
by みちる (2007-04-01 17:31) 

win-win

>piglet-yさま
私のブログも、趣味や雑談中心の他のブログより、こちらの方がアクセス数は多いですが、コメントは少ないですよ。
多分、私のは特に「中学受験」とついているので、覗くだけ覗くという方が多いのではないでしょうか?
(ソネブロは、カウンターが回りやすい、という説もありますが・・水増しじゃないかって)

こちらの記事の内容は、お子様への愛情にあふれていて、
とても良い感じですよ^^
ただ、訪問者層が、普通の主婦の方とかだと、わざわざコメントしようと思わないのでは?
by win-win (2007-04-01 22:12) 

リオン

読んでて、思わず涙が・・・(T_T)
息子さん、第一志望校に無事に合格できて
本当に良かったですね!
うちは残念ながら、第一志望校はダメでしたけど
何とかご縁のある学校に行けることになりました。
息子さんの受けた○○中学、
うちのオボンは2回に受けましたよ。
もう、すんごい人数でした・・・(^▽^;)
スーパーチャレンジだったので
本人も「悔い無し」と言ってました。
良い思い出になって良かったですよ。
by リオン (2007-04-02 02:20) 

みちる

win-winさま
ありがとうございます。
そうですよね。コメントってちょっぴり勇気がいりますよね。
もともとひとりごとで
ブログをやってみようかなぁとチャレンジしたので
思いをつづり続けてみます。
私の大好きなページになるように(^^)
by みちる (2007-04-02 21:50) 

みちる

リオンさま
訪問、コメントありがとうございます。
○○中学校の受験は
とても良い思い出になりました。
なかなかあのような緊張感、醍醐味は
味わえないのでその瞬間に
我が子がいたということだけでも
感激しました。本人もここまでこれたという
達成感を感じてくれたと思っています。

入試の頃、
職場の先輩に、とおい昔中学受験の経験者の方がいて
年明け、ちょっと涙もろくなった私に
「合格した学校が坊ちゃんのご縁のある学校。
もし合格できなかったとしたら、公立がご縁なのよ。
どこの学校に決まってもそこが一番と思うことが大切よ」
と、毎日穏やかに話してくださったおかげで
とても気持ちが楽になったような気がします。

力を出し切った後の結果は
きっとそれが神様が決めた1番なのですよ(^^)
by みちる (2007-04-02 21:58) 

又

感動をありがとう。
by 又 (2007-05-29 15:31) 

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